3月8日は国際女性デーでした。

国際女性デーは以前はラテンアメリカでは男性が女性にお花を贈って「女性デーおめでとう」とお祝いを言う日でした。私は日本にいた時に国際女性デーを知らなかったので、向こうで言われてびっくりしました。

ところが4年位前から国際女性デーは一変。平等の権利要求と女性への暴力反対の大規模デモが行われるようになりました。特にスペインやラテンアメリカのスペイン語圏は規模が大きいです。

今年はコロナ感染者がラテンアメリカの各国ででているのでデモ自粛するのかと思いきや、大規模デモは行われました。各都市であったんですが一番大きいのはやはり首都です。

 

 

国際女性デーの女性の大規模デモ

 

これはスペインのマドリッドのデモ。

 

 

 

こちらはメキシコの首都メキシコシティでのデモ。

 

 

 

 

ラテンアメリカ各国。

メキシコ、アルゼンチン、コロンビア、エルサルバドル、チリなど。

チリの首都サンチアゴは200万人が参加。

 

 

紫のカラーが多いのは、紫がフェミニストのシンボルカラーだからです。

 

デモでは「Un Violador En Tu Camino」(あなたの行く道を邪魔するレイプ犯)という南米チリが発祥の女性の抗議デモンストレーションを歌って踊る国が結構ありました。

チリでは200万のデモ参加者が歌っていました。スペインでも。

その歌の歌詞と解説については以前このブログでしたのでこちらを見て下さい。

 

 

 

 

 

デモがおきた理由と背景

 

ラテンアメリカの各国はまだマチスモ(男尊女卑)が根強く、マチスタ(男尊女卑の男、マッチョ思想の男)により女性が殺傷される事件が多いです。女性だからという理由で男性から殺された事件を「Feminicidio (女性殺人)」とよんでいます。女性殺人がメキシコでは去年に過去最高になりました。加害者は夫や内縁の夫、彼氏、友達、近所の人、同僚などで、DV、家庭内暴力、口論、レイプ、性虐待などで殺されたケースが多かった。

 

ラテンアメリカでは女性殺人があるとその被害者の写真を掲げて抗議デモ行進がおきるようになりました。もういいかげんにマチスタ達は女性差別と暴力をやめろと。そしてマチスタと女性殺人事件を防げない政府に怒って大規模抗議デモをしているのです。

 

ただしジェンダー格差の世界ランキングではラテンアメリカの国は121位の日本と違い上位の国が多いです。マチスタが多いメキシコだって25位。コロンビアは22位。ニカラグア5位、コスタリカやキューバが12、3位とか。これは女性の大統領や市長が多いし、職場で男女差別をしない、セクハラが法律で男女ともに禁止されている、などがあるからかと思います。

 

男女差別の一番の問題は家庭内やプライベートの方でしょう。

男尊女卑思想による女性差別もあります。家庭内では料理や子育てなどはワンオペで女性におしつけ。浮気は男の甲斐性。女は家にいろ、勝手に外出すんなと嫉妬して監視したり。第三者の女性にはレディファーストで優しい人が多いのですが、自分の女にはDVする男性が多いです。

ただし世代が上になればなるほどマチスタが多い傾向が強い。若い世代は考え方がだいぶ変わっているし。男性の中にも平等意識があり女性に対して優しい人もけっこういるので、みながマチスタというわけではないです。

 

私はメキシコとコロンビアにいたけど、コロンビアに比べるとメキシコの方がマチスタが多い。女が家事やれ、子育てもやれ、浮気は男の甲斐性という男性けっこう見たし、自分のまわりでも家庭内暴力やDVに苦しんでる女性や家族から相談受けた事もあります。病院の救急にDVで負傷した女性が並んでるという話もききました。

 

しょうがない、自分がそういう国に女性として生まれたんだからと耐えてきた女性が多いと思います。でもやっぱりおかしい、なぜ女性だからと差別されなきゃいけないんだ、なぜ女性だと暴力振るわれても我慢しなきゃいけないんだ、と思った女性達が声をあげて立ち上がった。

 

10年前や10数年前はまだマチスタが多かったし、ルッキズムも強かったけど、5年位前からドラスティックに変わったのを感じました。社会もマチスタはよくないと言うようになったし、政府もマチスタや女性への暴力禁止と啓蒙する様になった国が多いです。

それも女性の何十万、何百万という大規模デモがおきるようになり、政府も大統領もその声を無視することができなくなり要求に応じて動いて、是正したり社会に啓蒙活動するようになったからだと思います。

 

正直あのマチスタが多いラテンがこんなに急速に変わった事に驚いてます。ラテンアメリカのスペイン語圏は社会の意識も変わってきていますよ。

 

逆に日本に住んでる南米人はまだマチスタ多いと思います。昔日本に来てるから今の南米がこんなに変わった事をわかってなくて、まだセクハラ言ったりDVしたりする男が多い。

 

 

 

女性の全国ストライキ「女性がいない一日」

 

3月8日(日)は大規模デモでしたが、3月9日(月)は女性の全国ストライキの日でした。

 

メキシコでの女性ストライキを紹介します。

 

女性差別や女性への暴力、女性殺人に抗議して、「Un Dis Sin Mujeres (女性がいない一日)」「Un Dia Sin Nostras (女性がいない一日)」と題して、全国でストライキ実行。

 

女性達よ、動きをストップしよう。

・仕事に行かない

・学校に行かない

・家事をしない

・家族の世話をしない

・買い物しない(ネット通販も含め)

・銀行に行かない

・レストランやカフェや映画館などにも行かない

・公共交通を使わない

・SNSやストリーミングサービスも使わない

・ガソリン入れない

・すべてのサービスを使わない

など。

 

これを私がSNSに書いたら、妻が一日位いなくったってコンビニ弁当食うから別に関係ないと男性から返事がきました。でもコンビニ弁当の工場って女性が多いの知ってますか? コンビニの店員さんも女性が多いですしね。家事だけの問題ではないのです。

 

Un Dia Sin Mujeresというのは、昔私がブログで紹介した「Un Dia Sin Mexicanos」という映画をもじったものだと思います。

 

米政府がメキシコ移民は出ていけとか移民に厳しい政策をとったときに、メキシコ人がアメリカで3Kの仕事をしてるのにメキシコ人がいなくなったらアメリカはまわらないぞ、っていうのをコメディタッチで描いたメキシコ映画です。

これがその映画の予告(30秒くらいから始まる)

 

 

 

「女性がいない一日」のストライキは、もし女性がメキシコからいなくなったらどうなるか?というのを国や男性に見せようとしてるんだと。

 

メキシコの労働力の半分が女性。GDPも女性がかなりの割合で貢献。家事や家庭の事は女性にワンオペのところが多い。職場によっては大半が女性スタッフというところも。もし女性が1週間でもいなくなったら国の半分がゼネスト状態になってしまうので、国がまわらなくなります。

 

さてストライキをしたら実際にどうなったか?

 

これはメキシコでレストランやバーなどが多いコンデサ地区にあるレストランですが、人がいなくてがらがら。客は全部男性。

 

 

 

 

TV局やラジオ局や新聞社などのメディアも女性社員はストライキで出社せず。ラジオ局や新聞社のオフィスが人がいなくてがらんとしてました。

 

この動画はTVのお天気おねえさんのコーナーが、お天気おじさんに変更。

メトロバス(メキシコシティの専用レーンを走る)はピンクの椅子のところが女性専用席なのですが、女性専用席ががらがらで人がいない。

メトロ(地下鉄)も前の方は女性専用車両ですが、女性専用車両にもホームにも女性がいない。

 

 

 

駅には男性ばかり。駅の友人のチケット売り場は女性スタッフがいないので閉鎖。券売機に男性達が並ぶが、券売機での買い方を知らないおじいさんも。

大学などの学校も女生徒が登校してないし、女性教師や職員も来てないので男ばかり。

 

 

あちこちのレストランやカフェや商店も閉まってるし、スタッフがいないため銀行は営業を縮小。スーパーは客がいない。女性が多い会社はほとんどの社員がオフィスが空っぽ。受付がいないからオフィスに入れず外で社員が待ちぼうけのところも。家でご飯食べれないから食べ物買いに行く男性たちも。

 

 

 

メキシコの男性達も女性がいないことにショックを受けたようです。

このストライキは政府も各州政府も応援しており、大企業など多くの企業も賛同してストライキで出社しなくてもペナルティはありません。

でも中小企業や零細企業には出社しないとクビにするといったので、工場で働いたり商店で働いた女性達もいます。

 

1日でもかなりの打撃になったので、これが1週間続いたらどうなることか? 家事をしてくれる人が誰もいないだけじゃなく、子供を預けるところがないし(保育士さんの大半が女性)妻は子供の面倒見ないから自分がみなきゃいけないし家事もしなきゃいいけないし、国全体としてはメキシコの経済にも大打撃になります。

 

メキシコのメディアによると、

「もしメキシコの女性のストライキが長期化したらどうなるか? メキシコの半分の労働力が女性。GDPへの貢献度も高い。

①53%の人がいなくなる(街、職場、学校から)

②メキシコシティでは36%の家長がいなくなる(シングルマザーも多いし)

③幼稚園の先生の93%がいなくなる

④メキシコシティの職場の53%の労働者がいなくなる」

そうです。

 

 

 

「女性なんて…」「別に女なんかいなくても」 と女性差別してた国でもし女性がいなくなったらどうなるのか? 

人口の半分は女性なのに。

それを形にして見せてくれたのはおもしろいと思います。

 

AMLO大統領はメキシコでおじいさんとあだながついていて(60代半ば)、女性に対してもあまり理解がないと批判されてます。でも大規模女性デモやストライキを受けて、マチスタの問題や女性殺人の問題を解決しなければならないと発言してました。

 

長らく男尊女卑社会でルッキズムや女性に対する抑圧が強かったラテンアメリカで急速に女性の権利を求める意識が高まりたちあがって社会を変革してっている。これは私達にとっても希望を与えてくれると思います。

 

 

おすすめの記事